上質or手軽さ?

2010.09.04

松戸市小金原しんぽ歯科医院院長の新保です。先日とても面白い本を読みました。『トレードオフ』ケビン・メイニー著プレジデント社

大まかな内容は、日々の暮らしにおいて、人は「上質さ」か「手軽さ」かの、いずれかを選ぼうとする。

そう指摘する著者が、二者択一(トレードオフ)の観点から、ビジネスの成否を解明すると言うもの。

●上質さとは、商品やサービスの購入によって得られる「経験」全体を通じて感じるものである。それに「オーラ」と「個性」を加えた3つの要素により、上質度が決まる。

●例えば、ロンドンの高級テーラーで作ったスーツは強いオーラを放つ。デザイナーズ・ブランドのファッションは、持つ人の個性の表現につながる。オーラも個性も、その商品の上質さを高める要素となる。

●手軽さとは、望むものの手に入りやすさの度合いのことである。これは、すぐ届く、使いやすいといった「簡便性」と、価格の安さ、すなわち「経済性」の2つの要素からなる。従って、価格だけを安くして手軽さを実現しようとしても失敗する。

●上質であるとは「愛される」ということであり、手軽であるとは「必要とされる」と同義である。成功している商品やサービスは、愛されるか、必要とされるかのどちらかである。

●上質さと、手軽さ、その両方を極めた商品やサービスを作るのは不可能といえる。上質なサービスを「上質でしかも手軽」へ進化させようとしても失敗するし、その逆も同様である。

●だが、現実には、手軽さを持ち味とする事業の経営者は、「利益率を高めなくては」というプレッシャーから、上質さを追求しようとする。一方上質さを強みとする事業の経営者は「成長率を高めなくては」という焦りから、より手軽な商品を提供しようとする。そして、いずれも失敗する。

高級バックで有名なCOACHが上質と手軽さの二兎を追った結果2008年に見る影もないほど窮状に陥った例やマクドナルドが以前テーブルクロスやウェイターを用意したレストランを開店し、失敗した事、スターバックスがどこにでもある見慣れた店になり、客足が衰え株価が大きく下落した話など興味深い内容でした。

我々歯科医が自院をどの様なコンセプトにするかの参考になる一冊です。