「お口ぽかん」の子どもは、将来こんなリスクが!

2025.09.24
千葉県松戸市小金原 しんぽ歯科医院 衛生士&看護師 梅澤真里です。
最近、口を“ポカン”と開けたままの状態、いわゆる「お口ぽかん(口を閉じられない/口呼吸傾向)」の子どもが増えていると言われています。
「お口ぽかん」、正式には 口唇閉鎖不全 と呼ばれる状態が、3歳で約2割、12歳で約4割、平均すると約3割の子どもに認められるという報告もあります。
近年、一見無害に見えても、この癖は実は全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。
なぜ「お口ぽかん」が問題なのか
歯科医院としては以下の問題点があります。
• 口腔内が乾燥しやすくなってむし歯・歯肉炎のリスクが上がる
• 顎・顔面骨格の発育に悪影響を与え、歯並びやかみ合わせ異常を招く
しかし、それだけではありません。
お口ぽかんとアトピー・皮膚疾患との関連
日本の幼児(2~6歳)を対象とした横断研究では、昼間および睡眠中の口呼吸傾向がアトピー性皮膚炎と有意に関連しており、口呼吸傾向が強いほど発症リスクが高まるという結果が報告されていますまた、韓国の学童を対象にした別の研究でも、睡眠中の口呼吸はアレルギー疾患全般(アトピーを含む)と関連する可能性があると示唆されています。
お口ぽかんが引き起こす、姿勢と全身への波及リスク
口呼吸では呼吸しやすくするために自然と 顎を前に出すような頭部前方位を取るようになります。
このような前方頭位(フォワードヘッドポスチャー)は、呼吸抵抗を減らす代償として、頸部・肩部・背部の筋肉バランスを乱し、さらに姿勢全体を崩す方向へ影響します。
ある研究では、口呼吸群の子どものうち 96.7 % が前方頭位を示したという報告があります。また、口呼吸が姿勢変化と肺機能の低下と関連するという報告もあります。
姿勢変化が常態化すると、筋肉の緊張・アンバランスが広がり、首痛・肩こり・背部不良湾曲など「前進姿勢(前傾・猫背傾向)」へ発展するリスクも上がります。実際、最近のレビューでは、口呼吸児は頭部・肩部が前方変位し、身体の重心の前シフト傾向が確認されたという報告もあります。
しんぽ歯科医院でできること
1. 検査:お口ぽかんの有無、口唇・舌・嚥下機能をチェック
2. トレーニング:「ペコパンダ」など専用機器を使った楽しい訓練
3. 定期チェック(3か月ごと):改善度を確認しながら継続サポート
一見無害な口を開ける癖ですが、これを放置すると、将来の成長や健康に影響することがあります。
しんぽ歯科医院では、ただ口唇閉鎖不全を治すだけではなく、こうした姿勢変化も意識したリハビリ・トレーニングを併用することが重要と考えています。