インプラントでよくあるトラブルと失敗例|後悔しないための対策とは

2025.09.09
「インプラントって安全なの?失敗のリスクはない?」
「高額な治療なのに、後悔したっていう話も聞くけど本当?」
インプラント治療は、見た目や噛む力を回復できる優れた治療法ですが、すべての人に100%成功するわけではありません。
この記事では、インプラントで起こりがちなトラブルや失敗例と、それを防ぐための具体的な対策をわかりやすく解説します。
インプラント治療でよくあるトラブル・失敗例
▼ 1. インプラントが骨と結合しない
インプラント治療の最も重要な工程が、人工歯根(インプラント体)が骨としっかり結合すること。
しかし、まれに体質や骨の状態によって結合がうまくいかず、インプラントが脱落してしまうことがあります。
主な原因:
・喫煙
・糖尿病などの全身疾患
・過度な負荷が早期にかかる
・骨の質が弱い
▼ 2. インプラント周囲炎
インプラントは虫歯にはなりませんが、**歯周病に似た「インプラント周囲炎」**という病気になることがあります。
これが進行すると、周囲の骨が溶け、せっかくのインプラントが抜け落ちてしまうことも。
主な原因:
・セルフケア不足
・定期的なメンテナンスの未受診
・歯ぎしりや噛み締め
▼ 3. 審美性の問題(見た目に満足できない)
「白い歯が入る」と思っていたのに、色味が周囲の歯と合わない、歯茎との境目が黒く見えるといった審美トラブルも。
特に前歯のインプラントでは、技術力や素材選びが仕上がりに直結します。
主な原因:
・設計や歯科技工物の精度の低さ
・歯科医師の審美治療に関する経験不足
▼ 4. 噛み合わせの不調
「噛みにくい」「顎が疲れる」「頭痛がする」など、噛み合わせの違和感が残るケースもあります。
これはインプラントの高さ・角度が合っていない、または周囲の歯とのバランスが取れていない可能性があります。
主な原因:
・かみ合わせ調整不足
・術前の診断・分析が不十分
後悔しないための5つの対策
- 経験豊富な歯科医師を選ぶ
インプラント治療は高度な技術と経験が必要です。症例数が豊富で、CT診断やガイドシステムを活用している医院を選ぶことが成功への第一歩です。 - カウンセリング時に不安や希望を正直に伝える
治療内容・費用・期間・リスクを十分に説明してくれる医院かどうか確認しましょう。聞きにくいことも遠慮せず伝えることが、後悔を防ぐポイントです。 - 治療後も定期的にメンテナンスを受ける
インプラントは「入れて終わり」ではありません。インプラント周囲炎を防ぐには、歯科医院での定期的なメンテナンスと自宅での丁寧なケアが必須です。 - 歯ぎしり・噛み締めにはナイトガードを
無意識のうちにインプラントへ過度な力がかからないよう、マウスピース(ナイトガード)の使用を推奨される場合もあります。治療後のサポート体制が整っているか確認しましょう。 - セカンドオピニオンを活用する
少しでも「本当にこの治療でいいの?」と感じたら、他院でセカンドオピニオンを受けることも選択肢の一つ。診断や治療計画の妥当性を比較できるため、納得感が高まります。
まとめ|インプラントの成功には“治療前の選択”がカギ
インプラントは、歯を失った方にとって「第2の永久歯」と呼ばれるほど優れた治療法です。
しかし、どんなに優れた技術でも、医院選び・術前の診断・術後のケアが不十分であれば、失敗や後悔につながるリスクは避けられません。
大切なのは、「自分にとって信頼できる歯科医院で、納得したうえで治療を進めること」。
不安を抱えたまま進めるのではなく、分からないことは質問し、比較検討しながら自分で選ぶ意識を持つことが、インプラント成功の秘訣です。
記事の著者
しんぽ歯科医院 院長 新保 城一
しんぽ歯科医院は平成9年の開業当初より一貫して最先端の予防歯科医療の普及に取り組んでまいりました。
最初は治療目的で来院された方も歯科において予防がいかに重要であるかを十分に納得され、現在多くの方々が定期的にメインテナンスを目的として来院されています。
- アメリカインプラント学会
- 日本口腔衛生学会
- 日本歯周病学会
- JAID海外学術担当理事
- USC(南カルフォルニア大学)客員研究員
- ハーバード大学歯学部 リサーチコラボレーター
- 日本大学松戸歯学部歯周病学講座研究生
- 日吉歯科診療所 オーラルフィジシャン認定医
(予防歯科の日本における第一人者、熊谷崇先生に師事)